トップページ > 【評価順】スポーツの本> 【読書感想】『エキストラ・イニングス』松井 秀喜
松井秀喜の誠実な人柄が文面から伝わってくる
『エキストラ・イニングス 僕の野球論』松井 秀喜著 書評
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本書は2012年に現役を引退した松井秀喜さんが、2013年3月から2014年11月にかけて新聞各紙で続けた連載コラムに加筆したものになっています。
松井さんの本はかなり読んできていますが、本書では初めて知った内容も多く、引退したからこそ伝えられることも多いんだなと思いました。
一読してみて、何よりも松井さんの誠実な人柄が文面からにじみ出てきます。
特に、最終章で松井さんが次のように語られていることが印象に残りました。
約1年半にわたる連載という形で、野球について考え、選手生活を振り返った。
どこまで意図が伝わっているかという不安は常にあり、言葉を選ぶ難しさをあらためて感じた。
中途半端な説明では考えていることが伝わらないだろうし、熱く語っても受け手には薄っぺらに感じられるかもしれない。
選手時代、うまく伝えられそうにないことは、口にしない場合が多かった。
だが今は「プレーで見せる」と言えない立場となり、言葉で表現することの比重が高まった。
言葉への意識は今まで以上に高めなければと思う。
「伝える」ということに、ここまで真摯に向き合う方も珍しいのではないでしょうか。
どんな仕事に対しても真正面から取り組む姿勢は尊敬します。
扱うテーマは高校時代からメジャー引退まで幅広く、それぞれの場面でどのように感じ、考えていたかがわかります。
長嶋元監督やヤンキースのトーリ監督を始め、たくさんの方々を松井さんは尊敬しているのですが、これは良い人に囲まれたという一方で、松井さんが相手に対し、尊厳をもって接しているからこそ、そのような捉え方をされるんだろうなという印象を受けます。
また最後レイズで戦力外になり、引退を決意するまでの心の動きを伝える章も心に響きました。
身体がいうことをきかず、感覚的にも衰えがわかる描写がかかれ、引退の決断も、客観的にみても十分に納得のいくもので、残念だが仕方のない選択だったのだなということがわかります。
戦力外通告を監督からされた時も、怒りの感情も全くなく、他人に責任を求めない姿勢が伝わります。
サクセスストーリーともいえる松井さんの野球人生は、このような松井さんの人格があったからこそ成し遂げられたものなのでしょう。
だからこそ、今でも多くの人に愛されているのです。
この「気質」や「人柄」というものについて、私も仕事や普段の生活を送るうえで大いに学びになりました。
こんな人におススメ!
・松井秀喜ファンの人
・愛される人柄について学びたい人
・野球観戦が好きな人
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読書日:2016年7月
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