フジのバラエティ全盛期を振り返る
『人生で大切なことは全部フジテレビで学んだ』吉田正樹著 書評
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著者の吉田正樹さんは東大法学部卒業後、1983年にフジテレビに入社。
後に制作部に移り、ADとして『オレたちひょうきん族』『笑っていいとも』など、ディレクター・プロデューサーとして『夢で逢えたら』「ウッチャンナンチャンのやるならやらねば!』『笑う犬の生活』などを手掛けた人物です。
その後、2009年に退社し、吉田正樹事務所を設立。『もしドラ』を大ヒットさせています。
また、奥さんはネプチューンなどを擁するワタナベエンターテイメントの社長であり、ご自身は会長職も務めています。
本書では吉田さんが制作にかかわった、北野武・明石家さんま・タモリのいわゆる「ビック3」の時代から、ウッチャンナンチャン・ダウンタウンの台頭、そしてナインティナインまでのいわゆるフジの王道バラエティの系譜を中心にご自身のキャリアの体験を交えて語られています。
私が子供の頃は『オレたちひょうきん族』が絶大な人気で、以来フジのバラティの全盛期をずっと楽しく視聴していたので、楽しく本書を読むことが出来ました。
本書の醍醐味は何といってもテレビではわからない、一流芸能人の仕事への取り組み方に触れることが出来る点です。
中でもウッチャンこと内村光良さんは、作り物のコントに並々ならぬ情熱を持ち、意に沿わない番組企画が出てきたとき、激怒しそのまま帰ってしまったというエピソードや、吉田さんがナイナイと初めてあった時、岡村隆史さんの「売れよう」とギラギラした強い気持ちに感化され、番組開始のゴーサインを出した話などは興味深いものがありました。
やはりあれだけ売れるには強固な信念が欠かせないということなのでしょう(やる気なさげなタモリさんは別にして…)。
また、『オレたちひょうきん族』ではスタッフの育成がまったく出来ていなかったことを反面教師にして、吉田さんが育成に力を入れていたことも印象的でした。
ナインティナインの『めちゃ×2イケてるッ!』で有名な片岡 飛鳥プロデューサーは、吉田さんの愛弟子になります。
このように楽しく本書を読んだのですが、残念ながら最近はフジテレビのバラエティ番組は死に体となっており、視聴率でも日本テレビに大きく水をあけられている状態です。
そもそもフジ王道バラエティともいえるコント番組は1つもなくなってしまいました。
もちろん、テレビ自体のメディアパワーが著しく減少しているという点が大きいと思いますが、全盛期を知り、ワクワクしながら番組を観ていた私としては寂しい限りです。
こんな人におススメ!
・フジテレビのバラエティ全盛期を楽しんだ人
・テレビ業界に興味がある人
・一流お笑い芸人の素の姿に触れたい人
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読書日:2016年8月
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