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コンテンツビジネスの爆発力に感心

『「宇宙戦艦ヤマト」をつくった男 西崎義展の狂気』牧村 康正 山田 哲久著 書評

 

『「宇宙戦艦ヤマト」をつくった男 西崎義展の狂気』牧村 康正 山田 哲久著

 

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西崎義展さんは70・80年代に爆発的にヒットしたSFアニメ『宇宙戦艦ヤマト』の生みの親であり、プロデューサーです。

 

私自身リアルタイムではないのですが、一時期『宇宙戦艦ヤマト』にハマっていたことがあり、ほぼ全作品を視聴していたので、西崎さんのことは知っていました。

 

しかしながら、西崎さんに近年関して入ってきたニュースは、「覚せい剤所持で逮捕(1997年)」「自動小銃所持で逮捕(1999年)」「服役中、著作権を巡り、漫画家松本零士と裁判」など凋落を印象づけるものばかり。

 

ついには、2010年12月、小笠原村父島の海で、船から転落して死去と、決して幸せとは思えない日々を最後は過ごされていたんだなあという印象がありました。

 

今回、改めて本書にて西崎義展さんの破天荒な人生について知ってみたいと感じ、手に取ってみました。

 

著者の牧村康正さんはフリージャーナリスト、そして山田哲久さんは、西崎義展さんのアシスタントプロデューサーをつとめたことがある方です。

 

本書は西崎義展さんがアニメ業界に乗り込んでくる所から始まります。

 

入社先は手塚治虫さんが主宰するアニメ製作会社・虫プロダクションの子会社、虫プロ商事。35歳の時でした。

 

それまでの西崎さんは、大学中退後にボーイ、バーテン、クラブやジャズ喫茶の司会者などで小銭を稼ぎ、芸能プロデューサーの仕事も経験されています。

 

虫プロ商事入社直後からとても生意気でしたが剛腕ぶりを発揮し、どんどん結果を出す。

 

しかしながら周囲とも激しく摩擦を起こすという、これからの人生を予見させるような人間性を表していきます。

 

以後については、下記の目次を読めば、どのような人生を過ごされてきたかがよくわかるでしょう。

 

第1章 アニメ村の一匹狼
第2章 芝居とジャズと歌謡ショー
第3章 ヤマトは1日にして成らず
第4章 栄光は我にあり
第5章 勝利者のジレンマ
第6章 砂上のビッグ・カンパニー
第7章 破滅へのカウントダウン
第8章 獄中戦記
第9章 復活する魂
終章 さらば、ニシザキ

 

西崎さんの最大の幸福は、一生食べて暮らせるほどの利益を生み出す『宇宙戦艦ヤマト』というコンテンツを作り出したことでしょう。

 

私自身、原作は松本零士が考えたのかなと思っていたのですが、松本零士さんはビジュアル面のみ担当で、実質的には西崎さんが1から作り上げていたのです。

 

そして、最大の不幸は、『宇宙戦艦ヤマト』で生み出した巨額の利益を湯水のごとく遊びに使い、また、次のヒット作を生み出せなかったことに尽きます。

 

何人も愛人を囲い、欲望の巣窟とまで呼ばれています。

 

そんな放漫経営により西崎さんの会社は77億円の負債を抱かえるようになり、自己破産に至ります。

 

私利私欲に走ることの恐ろしさを感じます。

 

先述したように、西崎さんは覚せい剤と銃刀法違反により、逮捕。

 

刑務所で服役した後、2007年12月に釈放。

 

ここで最後のビジネスに取り組み、『ヤマト復活編』そして、木村拓哉主演の『実写版宇宙戦艦ヤマト』の公開へと至ります。

 

最近何かと話題の元SMAPマネージャーの飯島三智が登場する箇所は興奮しました。

 

しかしながら、『ヤマト復活編』の興行成績は思わしくなく、同時期の公開していた『ONE PIECE』が盛況だったという記述を読むと、時代の流れのむなしさを感じました。

 

そして、突然の死去・・・。

 

このように西崎さんの人生は波乱万丈に満ちており、それを引き寄せてしまう資質の持ち主だったということもわかります。

 

まるでドラマのようなジェットコースターぶりなのです。

 

しかしながら、一つコンテンツビジネスをヒットさせるとこれほどまでに人生が変わるものなのかと感動もしました。

 

『ハリーポッター』を生み出したJ・K・ローリングさんなんかは一夜で王様になった気分なのではないでしょうか。

 

コンテンツビジネスの無限の可能性を感じた本でもありました。

 

こんな人におススメ!

・コンテンツビジネスの将来性を学びたい人
・波乱万丈の人生に触れてみたい人
・『宇宙戦艦ヤマト』に関し、より知識を身につけたい人

 

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読書日:2016年9月

 

『「宇宙戦艦ヤマト」をつくった男 西崎義展の狂気』牧村 康正 山田 哲久著

 

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