トップページ > 【評価順】ビジネスの本> 【読書感想】『ソニー 失われた20年 内側から見た無能と希望』原田節雄
輝いていた企業が衰退に向かうまで
『ソニー 失われた20年 内側から見た無能と希望』原田節雄著 書評
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私が新入社員として社会に出た頃はまだソニーは輝きを放っていました。
ソニーが流すCMはお洒落でカッコよく、家電製品を買う時はほぼソニーを選んでいました。それは、機能ではなく「カッコイイ」というソニーブランドに魅力を持っていたからでした。
当時はソニーの関連本も多く読みました。礼賛本がほとんどで特に出井伸之さんがCEOになってからしばらくは強烈な光を放った企業でした。
そして現在…。ソニーの商品を買うことはほとんどなくなりました。
商品毎に商品スペックを比較検討し購入するようになっています。そうするとソニーは選択肢から外れることが多いです。
さらに店員さんからすすめられることもありません。
ソニーの業績は凋落の一途を辿り、パソコン事業さえ撤退。どんどん切り刻まれてゆくのを見るのはソニー信奉者だった身としては悲しい限りです。
本書はそんな崩壊の過程を元社員が告発する内容になっています。
著書の原田節雄さんは1970年から2010年までソニーに勤務。商品戦略や法務、国際基準化など多岐にわたり仕事をこなされていました。
そして、原田さんが社内から見たソニー衰退の経緯を本の中で紹介・分析しています。
内部からの視点のため我々では伺いしれない貴重な情報となっています。
原田さんはソニーが犯した過ちとして、「本業を外れた財界活動への盛田氏の意欲が大賀氏をソニーの最高経営責任者にしたこと」「その大賀氏と盛田良子夫人が出井氏を社長に選んだこと」の2つを挙げています。
そして、出井さんの社長時代の数々のエピソードは、確かにソニーのコアな強みあった技術力を破壊させるものであったということがわかります。
社長就任当初、出井さん人気は物凄いものがありました。
「デジタル・ドリーム・キッズ」「リ・ジェネレーション」などのキャッチフレーズは魅力的でいかにもソニーらしく、これからますますソニーは発展するだとうと感じたものです。
しかし、本書によるとその裏でどんどんとソニーの魅力が削がれていっていたようです。
効率化第一主義に基づき、ブローカー依存により製造の外注、設計の外注が進み、技術が空洞化しています。
また、コンサルタント依存症に陥り、社外コンサルタントを増やし、その餌食になっていきます。
このようにソニーの企業価値が短期間に食いつぶされていったことが理解出来ます。
もちろん、一人の元社員の視点なので偏った見方はあるかもしれません。しかしながらその要因はやはりゼロではないでしょう。
トップの判断次第で企業は良くも悪くも大きく変化していくもの。リーダーの責任はとても重いものだと感じずにはいられません。
その意味ではソニーに再び正しい舵取りをしてくれるトップが就任してくれることを期待したいと思うのです。
こんな人におススメ!
・社内の目から見たソニー凋落の原因を知りたい人
・リーダーの判断により組織が衰退する過程を知りたい人
・ソニーが復活するための提言を読みたい人
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読書日:2014年2月
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