トップページ > 【評価順】ビジネスの本> 【読書感想】『ゲームの父・横井軍平伝 任天堂のDNAを創造した男』牧野 武文
任天堂の企業哲学の原点となりうる人物
『ゲームの父・横井軍平伝 任天堂のDNAを創造した男』牧野武文著 書評
サイト管理人の評価
スポンサーリンク
「ニンテンドーゲームキューブ」や「Wii U」など任天堂が出す家庭用ゲーム機は「ソニーのプレイステーション」やマイクロソフトの「Xbox」と一線を画し、高スペックを追い求めるのではなく、タッチパネルやリモコン操作など「遊び」を追及して工夫を重ねている所に特徴があります。
本書で取り上げている横井軍平という人物は、そんな任天堂の商品ポリシーを創り上げた存在として知られています。
この人を抜きにして任天堂を語ることは出来ないのです。
横井さんは1965年任天堂に入社。
「ゲーム&ウオッチ」、「ゲームボーイ」、「バーチャルボーイ」といった任天堂を急成長させるきっかけとなったヒット商品の開発に関わり、「スーパーマリオ」生みの親とされている宮本茂さんと共に任天堂を世界的企業に押し上げる原動力となりました。その貢献は計り知れません。
その後、元々「50歳になったら好きな事をする」ということで1996年に任天堂を退社し、株式会社コトを設立。
バンダイの携帯型ゲーム機「ワンダースワン」の開発アドバイザーなどにもついていたのですが、1997年に残念ながら交通事故で急死。ゲーム業界にとってその存在はレジェンドとして知られています。
本書ではそんな横井さんの仕事の軌跡が書かれています。
当時は花札とトランプが主力事業であった任天堂に入社して、「ドライブゲーム」や「ウルトラハンド」などの玩具を開発することから始まります。
これらの開発で横井さんの哲学が形成され、ゲーム開発に生かされていくということがわかります。
本書で一番取り上げられているのは、横井さんの哲学である、「枯れた技術の水平思考」という考え方です。
これは、最先端技術を追いかけるのではなく、使い古されて、価格も安くなっているちょっと古い技術を、一歩引いたところから水平思考をしてみる。
すると、別の使い道が見えてきて、それは世界にひとつしかない商品になるというもの。
また、「安く作らないと売れないというのは、単なるアイディアの不足である。日本国内で作っても高く売れるだけのアイディアを考えたらいいじゃないですか」とも語っています。
価格や性能ではなく、アイディアで勝負することでそれは世界唯一のものになり、値引き競争の対象にもならない。
この考え方は未来工業の創業者山田昭男さんが徹底的に差別化にこだわっている点と共有するものがあると感じます。
そして、任天堂の商品群を見てみると、横井さんのこの哲学が反映されていることがよくわかるのです。
この考え方はビジネスにおいてとても重要だと思います。
様々な要素に依存することなく「アイディア」のみで勝負する。この考えは私も常に意識しておきたいと考えています。
こんな人におススメ!
・ブルーオーシャンを学べる本が読みたい人
・仕事をする上で大切な事を知りたい人
・ゲーム好きの人
スポンサーリンク
読書日:2014年12月
サイト管理人の評価