凄惨な殺人と暴力が日本の家庭で進行していた衝撃
『家族喰い 尼崎連続変死事件の真相』小野一光著 書評
サイト管理人の評価
スポンサーリンク
本書は2012年に世間を騒がせた「尼崎連続変死事件」について、フリーライターの小野一光さんがその真相を暴くべく取材を重ねて公表した内容となっています。
大変な衝撃を受けました。
尼崎連続変死事件は2012年10月に兵庫県尼崎市で発覚した連続殺人死体遺棄事件です。
主犯格の角田美代子は25年以上もの間、兵庫県尼崎市南東部で、血縁関係にない人物を多く集め、疑似家族を築きながら共同生活を営んでいました。
そして角田の周辺では、1987年頃に当時、同居していた女性が失踪したことを発端に、複数の不審死や失踪事件が相次いで発生。
それでも長年にわたり、事件が表に出ることはありませんでした。
しかし2011年11月に角田らに監禁されていた40代女性が監禁状態から抜け出し警察に駆け込んだことで、角田が傷害容疑で逮捕され、次いで、その女性の母親の死亡事件が発覚。
さらに、この事件を端緒に捜査は進められ、2012年10月に別件(年金窃盗事件)で逮捕されていた角田が全面自供したことにより、ようやく一連の事件が明るみに出ることになりました。
当時ニュースやワイドショーでたくさん取り上げられていたので、覚えている方も多いでしょう。
しかしながら2012年12月に角田は兵庫県警本部の留置施設内で自殺し、真相は闇の中に。
そしてこの話題が世に出ることも減っていきました。
この事件を本書では改めて丹念に取り上げています。
恐ろしいのは25年以上も異様な共同生活が続いていたこと。住人は角田に洗脳され、恐怖心から絶対服従を強いられます。
その環境下で住人が別の住人をリンチする。
子供が実の母に暴力をふるうなど、凄惨な光景が繰り広げられていたそうです。
角田美代子という人物のダークサイドの影響力は凄まじいものだと思いました。
それだけパワーに溢れ、何人もの住人を奴隷にさせてしまうという強烈でとても恐ろしい資質の持ち主なのです。
まるで突然変異で現れたような角田という存在には、震えるほどの恐怖を覚えます。
またこれだけの悲惨な状況が繰り広げながら世間に知れ渡らなかった理由に、警察があまりにも無能であり怠慢であることがわかりました。
過去に何度も住人は警察に相談したことがあるのですが、「民事不介入」として何もしてくれない。そうするうちに住人はあきらめるしかなく、角田の元に戻っていくのです。
警察組織には強い怒りを覚えずにはいられません。
平和で安全といわれている日本ですが、それでも長年にわたりこのような惨劇が続いていたことに大きな衝撃を受けます。
日本にはいまだに表に出ていない、このような「歪み」が存在しているということなのでしょう。
こんな人におススメ!
・AV業界の仕事内容について知りたい人
・様々な職業における個々のポリシー・こだわりをしりたい人
・心の広い、よく出来た奥さんの存在を知りたい人
スポンサーリンク
読書日:2015年5月
サイト管理人の評価