歴史の躍動するワンシーンに立ち会い、想いにふける
『その時歴史が動いた〈34〉』NHK取材班編 書評
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『その時歴史が動いた』シリーズは歴史の様々な場面において「歴史が変革した」シーンを取り上げ、検証を行う内容。取り上げる時代が多岐に渡り、とても読みやすいのでつい手にとってしまいます。
今回取り上げられた歴史は下記の4つ。いずれも詳細な検証がなされているので、その時代の情景が浮かぶようで興味深く読めました
・百世の安堵をはかれ 安政大地震・奇跡の復活劇 1958年(安政5)12月
・龍馬が愛した女 幕末、愛と別れの物語 1867年(慶応3)11月15日
・ニッポンに学べ!タイの明治維新 「王様と私」・ラーマ五世の苦闘 1909年(明治42)3月10日
・サムライ魂でデパートを創れ! 近代百貨店誕生物語 1914年(大正3)10月1日
この中でもとりわけ面白かったのが、大正時代の近代百貨店誕生のエピソードです。
現代のデパートは西洋の一流百貨店をベースに日比翁助が作ったのが発祥(三越百貨店)だそうで、日比は「日本初の百貨店を作った人物」として知られています。
それまでは呉服店という形式で、客と応対する番頭が、奉公人に命じ、蔵から品物を一つ一つ取り出して販売する「座売り」と呼ばれる販売方法だったそうで、今の感覚だとこんな販売方法だったらとても面倒くさいと思ってしまいます。
それだけに明治33年に開始した、当時は西洋式の陳列販売は大きな評判を呼んだそうで、どんなことにも歴史はあるものだと感じ入ります。
その後、日比はロンドンの老舗デパートを視察し、それを参考にした仮店舗を明治41年に完成。連日途絶えることなく多くの客が押し寄せたそうでその時の衝撃はいかに大きいものであったかがわかります。
そして、大正3年にルネサンス様式の日本初近代的百貨店が完成。こちらも連日大群衆が詰めかけたのだそうです。
日比は「デパートは社会に貢献すべきである」という理念を持ち、関東大震災時に生活必需品の販売を行うなどその想いは受け継がれているそうです。
どんなことにも歴史があり、その転換期に世の中は大きな影響を受けるものです。
そんな変換器を改めて振り返ることが出来る、「歴史の本」というのはとても貴重な存在です。
こんな人におススメ!
・重要な歴史の転換期の状況を深く掘り下げたい人
・坂本龍馬とお龍の関係について暮らしく知りたい人
・百貨店誕生時の状況を詳しく知りたい人
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読書日:2014年11月
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