役者の視点から見た歴史語り
『高橋英樹のおもしろ日本史』高橋 英樹著 書評
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俳優の高橋英機さんは歴史好きだそうで、撮影で地方ロケに行くときは、必ず近場の史跡に足を運ぶのだそうです。特にお城、とりわけ石垣が大好きなんだとか。
本書ではそんな高橋さんが歴史上の人物を演じてきた時の経験などをベースに人物や歴史的な事件、合戦などについての考えを綴っています。
全部で4つの章に分け、「江戸時代」「幕末期〜明治時代」「平安時代〜鎌倉時代」「戦国時代」と時代ごとにそれぞれテーマを設けてあります。撮影時の興味深いエピソードも豊富で歴史に詳しくない人でも読みやすくなっていると思います。
全体を通して読んでみて、時代別に見ると幕末から明治初期にかけては傑出した人物が多く登場し、歴史的にとても魅力のある時代のように思えました。河井継之助など私は好きなのですが、彼のようなあまり知られていない人物も取り上げられており、嬉しく感じました。
また、歴史に敗れてしまった人物についてはどうしても応援したくなり、ロマンを感じ、心を寄せてしまいます。「判官びいき」は日本特有の気質なのかもしれません。
感心したのは高橋さんの演技に対する真摯な態度です。高橋さんは、時代劇に出演することが決まったら、たとえ脇役であっても、役作りのためのその人物について徹底的に調べるのだそうです。その都度「この人は自分しか演じられない」というほど入り込むとのことでお仕事に対してとても真面目な方なのです。
中には、役作りに関してまったく調べない人もいるそうですから、この仕事に対する姿勢があるからこそ高橋さんはいつまでも第一線でご活躍出来ているのだろうと思います。
そんな高橋さんの豊富な知識がベースになっているので、歴史の醍醐味がしっかりと伝わる一冊になっています。
こんな人におススメ!
・役者の視点から歴史を楽しみたい人
・様々な歴史上の人物についての論評を読みたい人
・一流俳優の演技に取り組む姿勢を知りたい人
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読書日:2015年5月
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