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ソニー創業者が語る「心の教育」の大切さ

『井深大の「教育論」』井深 大著 書評

 

『井深大の「教育論」』井深 大著

 

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著者の井深大(1908年4月11日〜1997年12月19日)は盛田昭夫とともにソニーを創業した人物。

 

ソニーを世界的な企業に育てた功績から1992年に文化勲章を受賞しています。

 

ソニー創業者のお二人に関する本は昔からよく読んでいますが、ビジネスマンとして精力的に世界で活動している盛田さんと比較して、井深さんは研究肌であり、技術の根幹を担っているという印象。

 

また、井深さんはビジネス以外に教育活動や社会福祉にも強い関心を持っていたことが知られています。

 

本書はそんな井深さんの「教育者」としての側面について語った一冊であり、井深流の教育哲学がたっぷりと語られています。

 

また、解説を心理学者で幼児開発協会理事長である多湖輝さんが書いています。

 

井深さんは知育偏重の教育のため、日本人の子供は貧しい心しか持てなくなっており、このままでは日本の将来が危ないと危惧し、「心の教育」の重要性を訴えています。

 

ここで述べている「心の教育」とは、「徳育」のことであり、感謝や尊敬などを学ぶということになります。

 

そのための方法として、教育の内容を知識重点から人間の心へと重点を移すことや、「しつけ」の強化、親が子に対し無条件の愛情で包むことなどを挙げています。

 

全編を通して、共感出来る部分が多数ありました。

 

今の日本がここまで安全で清潔に、礼儀を持って暮らすことが出来ているのは、「教育」の賜物であるといえます。

 

一方で最近の事件やネットの乱暴な書き込みなどを見ると、この教育の良さが下がってきているのではとも思うのです。

 

知識偏重の教育でいびつな人間性を持った大人を育てるよりも、正しく真っ当な行為を是とする「心の教育」を強化することは将来の日本にとってよい側面をもたらしてくれるのではないでしょうか。

 

本書が刊行(2001年)されてから結局この問題は放置されたままではありますが、第2次安倍政権では政策の1つに「道徳の教科化」を挙げています。

 

この政策が良い効果を今後もたらしてくれると良いなあと感じました。

 

幼い子供がいる親は是非、読んでおいて頂きたい一冊です。

 

こんな人におススメ!

・小さいお子さんを持つ人
・教育関係に就いている人
・今の日本はどこかおかしいと感じている人

 

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読書日:2014年8月

 

『井深大の「教育論」』井深 大著

 

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