『男はつらいよ』に日本の原風景を見る
『寅さんと日本人』浜口恵俊 金児暁嗣編著 書評
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今年から『男はつらいよ』を観始め、全49作中、現在は26作目を視聴しています。
話はいつも基本的に同じなのですが、出て来る人物がとても魅力的で飽きることはありません。
国民的映画として長年愛され続ける理由もわかります。
そんな時に本書を手にしました。面白いのは「社会心理」の観点から『男はつらいよ』の魅力を分析しようとしている点です。
著者の浜口恵俊さんと金児暁嗣さんは文化心理学、社会心理学を専門としている大学教授。
これに社会学を専攻している2人を執筆陣に加え、合計4人で、分析・検証を行っています。
本書では『男はつらいよ』シリーズの時代的背景や地域性、日本型ドラマ構成についての記述をされていますが、特に今の大学生にこの映画を観てもらい、感想を語り合ってもらうという所は興味深いです。
寅さんの家のような大人数で食事をするというような経験がないにも関わらず、「懐かしい」と答える人が少なくなかったのです。
確かに、これは私の場合にもあてはまります。
実際にこんな経験はないけれどなぜか「懐かしい」と感じてしまう。
それは日本人のDNAに組み込まれている「日本の原風景」を感じさせてくれる要素が、この映画にはあるということなのでしょう。
『男はつらいよ』を観るとどこかホッとします。
これだけ日本で人気なのに外国でまったく流行らないというのもこのことが原因なのではないでしょうか。
今もなお支持され続けている理由の1つにこのことは必ずあてはまると感じます。そんな発見を本書ですることが出来ました。
ただ残念だったのは、『男はつらいよ』26作目以降の話の展開が随所に出てきて、今後の展開の一部がわかってしまったこと。これはとてもガッカリ。
全シリーズを観終えてからこの本を読んだ方が良いかもしれませんね。
こんな人におススメ!
・『男はつらいよ』の魅力を社会心理の視点から知りたい人
・日本の原風景を感じたい人
・『男はつらいよ』全シリーズを観終わった人
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読書日:2014年12月
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