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人間の負の側面をこれでもかと描く「性衝動」をテーマにした異色作

『ララピポ』奥田 英朗著 書評

 

『ララピポ』奥田 英朗著

 

サイト管理人の評価

 

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私が最も好きな作家奥田英朗さんの作品。

 

短編集でありながらそれぞれの話はリンクしていて、作中の脇役が別の作品では主人公になるという感じで、奥田さんらしい構成になっています。

 

但し、本作の一貫したテーマは「性衝動」となり異色です。

 

初めて奥田さんの作品を本作から読んだら面食らうのではないでしょうか。要はエッチな描写が満載なのです。

 

全部で6章に分かれそれぞれの主人公は対人恐怖症のフリーライター、キャバクラ嬢のスカウトマン、アダルトビデオに出演する主婦、NOと言えないカラオケボックス店員、デブ専裏DVD女優のテープリライター、52歳の官能作家。

 

かなりクセがあり、人としてかなり駄目な部類の行動をする人々です。

 

こんな人が主人公の話なのですから、面白くないわけがありません。

 

ストーリーはどんどんとあらぬ方向に転がりだし、話の展開にのめり込むようになるでしょう。

 

人の負の面をこれでもかこれでもかと描く所は、奥田さんの真骨頂ともいえます。

 

テーマがテーマだけにまるでスキャンダル雑誌のニュース記事を読んでいるようで、下世話な話が好きという人間心理をうまくくみ取っているなあという印象です。

 

奥田さんの他の作品に比べかなり刺激ですが、面白さは相変わらずです。

 

至福の読書の時間を過ごすことが出来るでしょう。

 

こんな人におススメ!

・ストーリが巧みで下世話なテーマの大衆小説を読みたい人
・有機的にリンクしあう短編集を楽しみたい人
・人の負の部分をとことん描く物語を読みたい人

 

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読書日:2015年3月

 

『ララピポ』奥田 英朗著

 

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