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個人がバイタリティを持って生き抜く時代がやって来た

『変わる世界で日本はこうなる!』竹村 健一著 書評

 

『変わる世界で日本はこうなる!』竹村 健一著

 

サイト管理人の評価

 

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評論家竹村健一さんの本は好きでよく読む方です。

 

その魅力は情報源を身近な国内メディアなどからではなく、海外メディアや要人との直接対話などから取ってきているため、全体の空気に流されることなく独自の分析・見解を行っている点にあると考えています。

 

本書の刊行は2008年11月。

 

政治、農業、金融、裁判員制度、個人のライフスタイルなど様々なトピックスについてこれからどのように変化していくかを予想、分析した内容になっています。

 

幅広い話題をわかりやすく説明されていて、興味深く読むことが出来ました。

 

刊行時に起きた出来事として挙げられているのが何といってもリーマンショックといわれる未曾有の金融危機。

 

そして、中国・ロシアの台頭によるアメリカ一極支配の変化、日本の衆議院議員選挙に裁判員制度スタート開始直前など。

 

この年は様々な点において転換期であったことがわかります。

 

そんな時にこれからの世界、そして日本について予想するというのは意義のあるものであったでしょう。

 

国際政治においては、アメリカ後は世界をリードしていくのはロシアのプーチンではないかと述べ、中国は間違いなく、世界ナンバーワンになることを視野に入れていると指摘しています。

 

2015年において、プーチンの言動は世界の火種として脅かし、中国は経済の波や不安定さはあるもののジワジワとその影響力を増してきています。

 

2008年からの連なりとして現在に至っているということがわかります。

 

一方、日本に目を向けると本書で語られているのは、農業において、国際的な貿易自由化の流れから、ずっと高関税を維持していくことは難しく、国際競争力を高める必要性が間もなく訪れるであろうと語り、その先見性はさすがだなと思わせてくれます。

 

また、この時は食品偽装事件が国内であり、不祥事を防ぐ組織の在り方の提示もされています。

 

残念ながら、今もなお様々な分野で不祥事は起きており、この件についてはあまり変化はみられないとも感じます。

 

2008年当時の日本の課題は現在も尚、課題のままである事柄が多い印象で、もどかしく思います。

 

最終章で竹村さんはこれからの個人の生活の変化についての記述をされています。

 

利益至上主義ではない社会起業家の誕生や、女性という貴重な戦力を上手に活用する働きやすい職場環境への取り組みなどが挙げられ、これらは着実に変化をしており、働きやすい環境が増えてきているのではないでしょうか。

 

日々変化する環境。

 

竹村さんはよく旅行に行くそうですが、世界の辺境に行く時に中国や韓国、台湾人の旅行者を多く見かけ、そのバイタリティに驚くそうです。

 

どうしても国内の居心地が良い日本はあまりチャレンジングな冒険はしない傾向にありますが、個々人の行動が成果に結びつきやすくなって来ているグローバル社会において、もっとタフにチャレンジングに生きなければいけない時代に来たのだなと感じました。

 

こんな人におススメ!

・2008年の時点でどのような予測がたてられていたか知りたい人
・世界や国内の政治的・社会的課題に興味がある人
・これからの個人がどのように生きれば良いのかヒントを得たい人

 

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読書日:2014年3月

 

『変わる世界で日本はこうなる!』竹村 健一著

 

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