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サムスンの人材教育に高度成長期の日本企業をみる

『サムスンはいかにして「最強の社員」をつくったか』李 彩潤著 竹村 健一監修 書評

 

『サムスンはいかにして「最強の社員」をつくったか』李 彩潤著 竹村 健一監修

 

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評論家竹村健一さんの本は好きでわりかし多く読んでいます。

 

本書は韓国企業のサムスンについて、竹村さんが監修しているということで物珍しさから手に取った一冊です。

 

刊行したのは2006年。この時既に純利益は日本のメーカーを追い越し、まさに絶頂期に向かう過程でサムスンの経営が注目されていた時期でした。

 

この本を読むまでサムスンについてはあまり知識を持っていませんでした。

 

国内市場ではなかなかサムスン製品が浸透しないという理由もあると思います。

 

読んでみて、「人材のサムスン」「教育のサムスン」といわれるくらいに人材育成に徹底して注力していることがわかりました。

 

これは、李健熙会長の「天才経営」という信念に基づくものです。

 

「囲碁一級の人が十人集まっても、初段1人に勝つことは出来ない」というのがこの信念の核心であり、5年後、10年後のサムスンを超一流企業にするのは天才的なアイデアと技術を持った人にしかできないというのが、李健熙の考え方なのだそうです。

 

そして、ビルゲイツのような天才を3人確保するというのが目標とのことで、世界中から優秀な人材を集めたり、軍隊よりも厳しい教育プログラムなど徹底して人材育成にこだわる様子が本書に書かれています。

 

読んでみて、本来、人材育成は日本のお家芸であったのがお株を奪われてしまっている。その影響というのは計り知れないものなのではないかと感じました。

 

サムスンは、かって高度経済成長期の松下幸之助の「人を育てる」経営を彷彿とさせます。

 

今の日本で優秀な人材を集められているグローバル企業はユニクロくらいではないでしょうか。

 

ソニーやシャープなど家電メーカーはリストラの嵐であり、人を育てる風土が吹き飛んでしまった感があります。

 

とはいえ、2015年時点でサムスンの成長はいよいよ下降線を辿るようになり、正念場を迎えています。

 

正直、調子の良い時は何とでも言えます。状況が厳しくなったこれから、「天才経営」がどのように実を結ぶのか注目です。

 

こんな人におススメ!

・サムスンが成長を続けたその理由を探りたい人
・サムスングループ李健熙会長の「天才経営論」を学びたい人
・社員教育の参考にしたい人

 

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読書日:2015年3月

 

『サムスンはいかにして「最強の社員」をつくったか』李 彩潤著 竹村 健一監修

 

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