世間の空気やマスコミ報道でいかに私達が流されやすい存在かがわかる本
『田母神流ブレない生き方』田母神 俊雄著 書評
サイト管理人の評価
スポンサーリンク
著者である田母神俊雄さんの名前が世間で初めて注目されたのは、当時航空幕僚長だった田母神さんが書いた論文が政府見解と異なるとされ免職された事件でしょう。
本書によるとこの論文は、自衛隊の職務とはまったく関係なく、歴史認識に関するものでした。
にも関わらず防衛省がクビにすると言い出し、マスコミ側も一気に火が付き大騒動になりました。
これも本書に書いていますが、この一連の騒動は田母神さんを排除したいと考えていた増田次官という人物がバックにいて仕掛けたそうです。
当時このニュースをテレビで見ていましたが、田母神さんは好戦的な人物として報道していました。
そんな時、自衛隊の関係者で田母神さんの部下だった人から田母神さんの評判を聞き、自衛隊組織内ではとても部下思いで信頼が厚いとのことだったので、一体どちらが本当の田母神さんなのであろうかと感じました。
そんな思いがあり、本書を読んだ次第です。
本書では免職の時の経緯の他に、教育・リーダー論・歴史観・政治について自論を展開されています。
そして本のタイトルに偽りなく、田母神さんの「ブレない」信念を強く感じました。
特に先ほど挙げた「部下思い」という点について、田母神さんの考え方をしっかりと知ることが出来たのは良かったです。
田母神さんは「部下を守るのが上司の役目」という考えの持ち主であり、「荒野の荒馬理論」を唱えています。
この理論は、颯爽と馬を乗りこなすのではなく、カッコ悪い乗り方であっても、落ちるか落ちないかの瀬戸際であっても、「いつの間にか駆け抜けてしまった」という風に、トラブルを乗り越えなければいけないという内容。
このような姿を部下にみせることで、部下は心から信頼を寄せてくれると主張されています。
自衛隊トップの方がこのような覚悟を持っていれば、そりゃあ部下は付いていくだろうなと思わせてくれます。
また、様々な政治家に対する論評も注目に値するものでした。
事件の際に「立場が立場だから不適切」と切り捨てた当時の麻生首相。
世論に迎合して発言を一夜で変える当時の鳩山邦夫総務大臣など。
日本の政治家の特徴である、信念のなさがよくわかるエピソードです。
ちなみに、ブレない数少ない政治家の一人として橋下徹さんを挙げています。
この本が刊行されたのは2009年。
本書では南京虐殺は出鱈目で戦略戦争ではなかったと主張されていますが、この認識も今、国内では広く知れ渡りつつあるのではないでしょうか。
むしろ、日本が何もいわないことをいいことに中国がユネスコ記憶遺産に申請したりする自体に発展しています。
今、論文を投稿していたら大きな騒動になることはなかったでしょう。
逆説的ですが、本書を読んでいかに我々が世間の空気やマスコミ報道に流されやすいかがよくわかりました。
こんな人におススメ!
・世間の空気やマスコミ報道にイメージ操作される恐ろしさを知りたい人
・歴史認識について関心がある人
・部下から慕われるリーダーシップを身につけたい人
スポンサーリンク
読書日:2014年12月
サイト管理人の評価