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中村修二の生き様に触れ、学ぶ点も多い

『中村修二劇場』日経BP社特別編集班 書評

 

『中村修二劇場』日経BP社特別編集班

 

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青色発光ダイオード(LED)の発明で、2014年にノーベル物理学賞を受賞した中村修二さん。

 

現在は、アメリカカリフォルニア大学サンタバーバラ校の教授に就任されていらっしゃいます。

 

本書は当時、日亜化学工業という田舎の中堅企業の一社員だった中村さんが、青色LED開発に成功し、にわかに注目を集めだした1995年から、ノーベル賞を受賞した2014年までで、日経誌上に掲載された中村さん関連の記事をまとめた内容になっています。

 

大枠の内容としては、下記になっており、ノーベル賞受賞以外では、何といっても日亜化学工業に対価を求めた裁判がハイライトになっています。

 

・青色LED開発成功について
・日亜化学工業の退社について
・日亜化学工業に対価を求めた、いわゆる「中村裁判」について
・ノーベル賞の受賞について

 

本書を通して読んでいくと、中村修二という人物の生き様が良くわかり、参考になる点が多くあります。

 

日亜化学工業に入ってからしばらくは、中村さんは利益を生み出す仕事が出来ず、社内的に苦しい立場に立たされていたそうです。

 

そんな中、開発が成功すれば明らかに大きな利益が得られる、青色LEOに取り組むことを決断。

 

さらに、正当法では大手企業に太刀打ち出来ないため、扱う材料を、当時大本命とされていたセレン化亜鉛ではなく、一部の大学などしか手掛けていなかった窒化ガリウムを選択するという決断をするのです。

 

この「ハイリスクハイリターン」の方法を選択し、見事結果を得られたからこそ、これだけのリターンを中村さんが得ることが出来たというわけです。

 

もちろん、そんな無謀ともいえる取り組みにゴーサインを出した、日亜化学工業のトップも立派です。

 

現在はアメリカで働いている中村さんですが、ベンチャースピリット溢れる中村さんにとって、日本の社会は窮屈で、今はアメリカでのびのびとその実力を発揮されているようです。

 

中村さんは日本ではなかなか輩出出来ないような人材です。

 

それだけに周囲との摩擦も多かったということがわかります。

 

そんななかしっかりと成果を上げたということは、やはりすごいことで、世界はそんな人材を見捨てるはずがないということです。

 

この「中村修二的生き方」は私も見習って行きたいと感じた次第です。

 

こんな人におススメ!

・中村修二の考え方に触れたい人
・中小企業が大手企業に勝つ方法を学びたい人
・日本とアメリカの労働環境の違いを知りたい人

 

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読書日:2016年5月

 

『中村修二劇場』日経BP社特別編集班

 

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