今や222万人に達した在日外国人の現状を紹介したルポタージュ
『ルポ 在日外国人』高 賛侑著 書評
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私は日本語教師のボランティアを長年しており、日本に住んでいる外国人の方との交流は比較的多い方だと思います。
東南アジアの方が一番多いのですが、この方々と話をしていて日本は外国人の受け入れについてとても厳しいと認識しています。
例えば2014年の難民認定者数は申請者5,000人(過去最高)に対し、わずか11人。
これは他国(ドイツは11,000人、英国は9,500人、フランスは9,000人、米国は21,000人、韓国は94人)に比べ圧倒的に少ない数になっており、国際基準から見てあまりにも厳しすぎるのではという印象です。
私の知り合いにも難民申請で日本に暮らしている人を知っていますが、更新時に無事更新出来るか不安なようです。
一方でこれは大変ナイーブな問題であり、簡単に審査基準を緩めるわけにもいかないのであろうというのも理解出来ます。
実際ヨーロッパでは移民が増大し、深刻な社会問題になっているわけですから。
とはいえ国際的な交流はますます深まってきています。
2015年の訪日外国人数は7か月間で早くも1100万人を突破と、過去最高のペースで進んでいます。
簡単に結論付け出来るほどの簡単な問題ではないが、今後ますます重要になってくる懸案。
本書はその参考となりうる1冊です。
本書は今や222万人に達した在日外国人の現状を紹介したルポタージュです。
労働現場や日本人との結婚生活、教育など様々な現場で在日日本人が苦しんでいる様子が書かれています。
多からずも日本に排他的な気質があるというのは事実でしょう。それは過去の歴史からも見受けられ、島国だからこそという面もあるのかもしれません。
良くも悪くも、少なくとも多様な民族を受け入れ続けているアメリカとは全く異なります。
最後に外国人をうまく受け入れている国の事例としてカナダを紹介しています。
70年代以降多文化主義を旗印に掲げ、「人種のモザイク」をめざし、「多様性のなかの統一」を国是としています。
まだまだ課題は多いそうですが、このビジョンに向けて様々な取り組みが行われているようです。
先述したようにこれは大変ナイーブな問題であり、簡単に移民を増やすというわけにはいかないでしょう。
今の私が出来ることといえば、わざわざ日本に来て暮らしている外国人の方には快適に暮らしてもらうべく、真摯に耳を傾けていくことくらいしかないのかなと考えています。
移民問題を考えるにあたっての1冊となってくれることを期待します。
こんな人におススメ!
・在日外国人が直面している現状を多角的に知りたい方
・日本国内にある外国人街を知りたい方
・多文化主義国家を目指すカナダの取り組みを知りたい方
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読書日:2014年7月
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