個性豊かなキャラクターが登場し、賑やかな雰囲気を味わえる
『円卓』あらすじ
公団住宅で三つ子の姉と、両親、祖父母に愛されて暮らす「こっこ」こと渦原琴子は、口が悪く、偏屈で硬派な、孤独に憧れる小学三年生。
こっこの日常は、不満と問題と驚きと発見に満ちている。
世間の価値観に立ち止まり、悩み考え成長する姿を、活きのいい言葉でユーモラスに温かく描く。
『円卓』書評
西加奈子さんの作品が好きという女性が何人かいたので、先日『ふる』を読んでみたのですが、イマイチその良さが理解出来ず、リベンジということで、本作品を読んでみました。
『ふる』は何となくファンタジー要素もあり、フワフワしてつかみどころがない感じでしたが、本作品は一転、生活感にあふれ、おそらく大阪であろう舞台での、コテコテなテイストでした。
主人公の渦原 琴子は小学三年生の女子であり、そして、三つ子の姉を持っています。
そんな大家族の環境下、孤独になることを、琴子は無常の喜びとしています。
その悩ましい状況をコミカルに描いています。
確かに自分も上に三つ子がいたら、とてもうっとおしいと思いますし、一人になりたいというのもわかります。
小学三年生の時の心理はそんなものなのでしょう。
また、琴子を取り巻く同級生の顔ぶれも個性的。
女性にモテモテのロシアのハーフや、ベトナム人、韓国人、そして吃音症の人物など。
関西の下町はこんな感じかもしれないというリアルさがあります。
このように設定や環境、そして、登場人物がユニーク。みんな活き活きしています。
そして、西加奈子さんの小説は、やはり物語よりも雰囲気が中心なのだと思いました。
このあたりは『ふる』に共通していますね。
世界観を大事にする作家さんという印象です。
こんな人におススメ!
・個性的な世界観を物語で楽しみたい人
・西加奈子さん作品の良さが出ている物語を読みたい人
・親しみがわく物語を読みたい人
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読書日:2016年6月
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