会津人としての執念が明治学院を築いた
『井深梶之助伝』星 亮一著 書評
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井深梶之助(嘉永7年6月10日(1854年7月4日)〜昭和15年(1940年)6月24日))は30年間、明治学院(東京白金)二代目総理の座にあり、生涯をキリスト教教育に捧げた人物。
当初、この人物を私は知らなかったのですが、本書の副題である「明治学院を興した会津の少年武士」という文に惹かれ、手に取りました。
というのも私は明治学院出身だからです。
明治学院の創設者はヘボン式ローマ字を生み出したヘボンで、初代総理でもあるのですが、この時に副総理になっていたのが井深でした。
また、この人物の一族にソニー創業者の井深大がいます。
本書は井深の生い立ちから書かれますが、会津の生まれであり、会津戦争の時は15歳。
降伏後、会津藩は朝敵とみなされていたためひどい扱いを受け、井深らも罪人扱いされていたそうです。
そんな中、勉強をして、会津に朝敵の汚名を着せて攻撃した薩長を見返してやることに執念を燃やし、学問に没頭。
コンプレックスを勉強にぶつけるという姿勢は巨万の富を築いたことで知られる本多静六を想起させます。
読んでいて悲劇を耐えて復権を果たした会津人の生き方を描いた2013年放送の大河ドラマ『八重の桜』を思い出しました。
明治に切り替わるタイミングで様々なドラマが展開されていたのだと感じ入りました。
本書には正岡子規なども登場し、歴史上の人物の活躍を立体的に眺めることが出来、楽しく読むことが出来ます。
こんな人におススメ!
・時代の変革期に学問の力で人生を切り開いた人を知りたい人
・会津の歴史に関心がある人
・明治学院にゆかりのある人
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読書日:2014年4月
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・『本多静六 人生を豊かにする言葉』本多 静六 池田 光
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