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軽妙で楽しいタッチの村上春樹エッセイ
『スメルジャコフ対織田信長家臣団』村上 春樹著 書評
サイト管理人の評価
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1998年2月14日から1999年11月18日まで更新されたホームページ『村上春樹堂』の内容をまとめたもの。
目玉コンテンツは村上春樹さんと読者とのメールのやりとりで添付のCD合わせて1800通以上のやりとりが収録。
さらに、本書でイラストを手掛けている今は亡きイラストレーター安西水丸さんとの肉声対談も収録されています。
春樹さんは時折、このように読者の方とコミュニケーションを図るホームページを開設されており、最近では今年1月から5月まで『村上さんのところ』というサイトを開設されていました。
さて、本書が刊行されたのは2001年。当時私は発売されてすぐ読んだので実に15年ぶりの再読になります。
一読してみて、このころの春樹さんが書く文章は若いなあという印象でした。文章も年代に応じて変化していくものなのですね。
本ではエッセイのページも充実しているのですが、ヤクルトスワローズやマラソン、旅行や読書など様々な話題を取り上げており、楽しく読むことが出来ます。
春樹さんの小説は苦手だけれどもエッセイは好きという方も少なくないようで、小説とはまた違ったユーモアに満ちた楽しく読めるエッセイのため、そのような方がいるのもわかる気がします。
特に印象的だったのは、創作についての記述でした。
「文章は一度寝かせて見直す」「小説家志望の人にとって、読書はアスリートの筋トレと同じ」などという話を読むと、春樹さんは才能ではなく、努力の人であったんだなという想いを抱きます。
大量に本を読み、書いた文章を何度も直していけば文才がない人でもそれなりの作品を書けるようになるのかもしれません。
そんなことを苦もなく淡々と続けられる資質こそが春樹さんの強力な武器になっているといえるのでしょう。
こんな人におススメ!
・村上春樹さんの手軽に読めるエッセイを楽しみたい人
・読者とのやりとりを通じて村上春樹さんの考え方を知りたい人
・小説家になりたい人
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読書日:2015年5月
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