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アメリカ現代詩界の代表的詩人が織りなす唯一の短編集

『犬の人生』マーク ストランド著 村上 春樹訳 書評

 

『犬の人生』マーク ストランド著 村上 春樹訳 

 

サイト管理人の評価

 

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著者のマークストランドさんは、アメリカ現代詩界の代表的詩人であり、詩集でピュリッツァー賞を受賞された方だそうです。

 

本書はマークストランドさんが書いた唯一の短編集であり、「とても感覚的なイメージの集積を文章に起こした」という印象を持ちました。

 

翻訳は村上春樹さんが行っていますが、巻末のあとがきにおいて、本作品を「インテリジェントで、優しく、そして夜の闇のように深い、奇妙な味の短編集」と評しています。

 

私からみてもまさしく奇妙な話の連続で、言葉を操る詩人らしい作品に仕上がっています。

 

全部で14の話が収録されていますが、どれも発想がとんでいて、話を理解するのに苦労します。

 

『大統領の辞任』では、気象マニアの大統領が気象を交えながら辞任演説をします。

 

『真実の愛』では、5回結婚し、それ以外に6回恋愛した40代半ばの男性がその遍歴を告白します。

 

いずれも「そのアイディアはどこから出たものなのであろうか」と思うものばかりです。

 

その中でわりかし好きだった話は表題にもなっている『犬の人生』です。

 

ある夫婦の話で、ある日夫が、「自分は以前は犬だったんだよ」と語りだす所から始まるストーリーです。

 

以降、犬だった時にどのような生活をしていたかという独白が始まるのですが、作品のスケールとしてもおさまりが良く、ちょうどよい物語であったと感じます。

 

本書は、詩人による小説ということもあり、話の展開よりも、その発想やシチュエーション、言葉の紡ぎ方などを楽しむ作品になっているんでしょうね。

 

こんな小説も中にはあっても良いのかなと思いつつ、やはり私はストーリーを楽しむタイプであるため、少しとっつきにくかったなあと感じざるをえませんでした。

 

こんな人におススメ!

・現代のアメリカを代表する詩人による小説を読んでみたい人
・物語よりも発想や文章の巧みさを楽しみたい人
・村上春樹の翻訳が好きな人

 

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読書日:2015年10月

 

『犬の人生』マーク ストランド著 村上 春樹訳 

 

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