精神論ではどうにもならない怖さ
『東条英機内閣の1000日』森山 康平著 書評
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東条英機といえば、A級戦犯の中でも別格の扱いであり、太平洋戦争の張本人というようなイメージが強いのではないでしょうか。
そして、映画やドラマにおいてもダーティーなイメージを持つことが多いと思います。(私も同様のイメージでしたが、「C級戦犯がスケッチした巣鴨プリズン」という本を読み、印象が少し変わりました)
本書はその東条英機内閣の時代の出来事をまとめています。当初は勝ち続けていた状況が変化し、日本が敗戦にまっしぐらに向かう時期にあたります。
読んでいて怖いのは客観性をもたない精神論に国の方針が終始していること。そして、それに巻き込まれていく国民の悲惨さです。
「一億総員戦闘配置令」や「一億総神拝」など聞こえはカッコイイかもしれませんが、物理的に何もなくなりあとは肉弾戦しかないということと同義です。
それでも信じてついていく国民は可哀想すぎるという想いしかありません。
その背景には「神国必勝」という背景があったようで、それは元寇の神風や日露戦争など、「日本は敗けない」という過剰に強い信念が共有されていたのでしょう。
当然、アメリカとは戦力の差が最初から大いにあったのですが、この過去の結果が自分達を過信させ、敗戦へと突き進んでしまった点があることは否めません。
この「精神論」で突っ走ろうとする傾向は日本人の悪い点なのかもしれません。
どんな分野であれ時に客観性を失い、精神論で乗り切ろうとする局面は散見されます。
最近では上位を狙いながら結局一勝も出来なかった男子のワールドカップもその一例なのかもしれません。
日本は「空気」として誤った道に突き進んでしまう気質があると思います。それは徳川恒孝さんの『日本人の遺伝子』にも書かれていました。
今を生きる私たちはこの気質を理解しながら、間違った道にすすむことのないようよく考え、判断していかなければいけないのです。
こんな人におススメ!
・なぜ悲惨な結果になったのか理由を知りたい人
・戦争についてより詳しい知識を得たい人
・戦時中の日本の状況をリアルに感じ取りたい人
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読書日:2014年2月
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