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経済小説×ミステリー×社会派と共感する要素が盛りだくさん

『ローカル線で行こう!』真保 裕一著 書評

 

『ローカル線で行こう!』真保 裕一著

 

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『ローカル線で行こう!』あらすじ

県下最大のお荷物といわれる赤字ローカル線、もりはら鉄道は、廃線の瀬戸際に立たされていた。再生を図るため、前社長が白羽の矢を立てたのは……なんと新幹線のカリスマ・アテンダント。

 

篠宮亜佐美。三十一歳、独身。

 

「この鉄道の経営は、素人以下です」「お金がないなら、智恵を出すのよ!」

 

県庁から送り込まれた鵜沢哲夫以下、もり鉄社員は戸惑うばかり。

 

しかし、亜佐美は社長に就任するや、規格外のアイデアを連発し、鉄道と沿線の町はにわかに活気づいていく。

 

一方、時を同じくして、列車妨害、駅の放火、台風による崖崩れと、数々の事件が亜佐美たちを襲う。

 

そんな中、社員すべての希望をかけた「もり鉄フェスティバル」の日がやってくるが……。

 

赤字鉄道の再生は? 寂れた沿線の町おこしは? そして、不穏な事件の真相は? もり鉄に明日はあるのか?

 

読めば元気の出てくる、痛快鉄道再生ストーリー!!

『ローカル線で行こう!』書評

真保 裕一さんの作品は今まで読んだことがなかったのですが、『ホワイトアウト』を映画で観ており、本格派のミステリー作家という印象を受けていました。

 

それだけに本書の装丁は、明るくユーモアに満ちていそうな雰囲気で、「読みやすそう」と感じ、手に取った次第です。

 

この記事を書くにあたり調べたところ、真保さんは『ドラえもん』などアニメの脚本もこなされていることがわかりました。

 

幅広い分野でご活躍されている作家さんなんですね。

 

さてこの小説の舞台は、地方のローカル線。そして、ご多聞にもれず、赤字がかさみ、廃線の検討されているほど。

 

そこで元々、新幹線で売り子をしていた1人の女性(篠宮亜佐美)が鉄道会社の社長に抜擢され、立て直しに奮闘するというストーリーです。

 

地方のローカル線の経営の厳しさは、『人口減少時代の鉄道論』で知っていたので、ビビッとでタイムリーな題材を選択したなという印象を持ちました。

 

この物語は様々な要素を含んでいます。

 

赤字路線を立て直す経済小説でもあり、若干のユーモア小説でもあり、そして、ミステリー小説でもあります。

 

ミステリーの要素は、ローカル線の立て直しに反対している何者かが、駅舎を焼いたり、列車の電源ケーブルを切断したり、崖を崩し運行を阻止するなど、様々な邪魔を行い、その人物の犯人探しを行うという内容。

 

ユーモア要素がありながら、しっかりとしたミステリーが入っているあたりは、さすが、江戸川乱歩賞受賞作家といったところです。

 

このように、盛りだくさんの内容で、全編飽きずに最後まで楽しく読むことが出来ます。

 

やや気になったのが、物語の目線が、篠宮亜佐美になっていたり、その部下の鵜沢哲夫になったりするので、時々、「アレ?」と感じてしまいました。

 

主人公をハッキリさせた方が良かったんじゃないかなという印象です。

 

こんな人におススメ!

・ミステリー要素のある経済小説を読みたい人
・地方のローカル線の経営状態について知りたい人
・働く女性がバリバリ活躍する物語が読みたい人

 

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読書日:2016年4月

 

『ローカル線で行こう!』真保 裕一著

 

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